2006年度のJNにおいて検討したが、実現できなかった案を2つご紹介します。
私個人の見解ですが、ヨーヨーのフリースタイルとクリップ動画の大きな違いは、プレイ、曲、会場が一体になった雰囲気をもってひとつの作品となるものだと思っています。(ある意味音楽がないとパフォーマンスとしては不十分)なので、映像だけ公開して市販の曲をかぶせて視聴するというスタイルはどうしても抵抗を感じます。何とか動画データとしてプレイ、曲、会場が一体となった演技を伝えたいという意図で調査を行いましたので、一部で言われている音無公開などの方法は検討内容から外しています。
日本の著作権管理団体の指針の中で、音声と映像を一体化したデータをインターネット上で配布するという形態に関して、許可を得る以前に「申請をすることすらできない」という現実があります。(2006年度の調査なので改訂されている可能性もありますがご了承下さい)
このルールの一番のポイントはアーティストの著作物を著作者が望まない形での2次配布を防ぐことにあると認識しています。
たとえば自分の音楽作品をわいせつ動画のBGMに使用されて配布されたとしましょう。しかもそれが、正式なルートで許可を受けて、著作権料が支払われていたものだったらどうでしょう?申請の段階での手違いで動画チェックをスルーしてしまって、すでに使用料を受け取っており抗議できずに著作者が泣き寝入り。なんて本末転倒な事態もあり得ない話ではなくなってしまいます。
このような事態を避ける意味で動画と曲が一体となったものに関する著作権の許認可を出すことにはことのほか慎重にならざるを得ないようです。
著作権管理団体の管理下にある音楽に合わせたプレイの動画の配信は事実上不可能です!
それがだめなら・・と、曲と映像部分を分けて公開してユーザー側で結合してもらおうという手段も考えました。楽曲単独のオンラインでの使用料は比較的安価で月間の使用料は10曲月1000円程度という表記でした。しかし、その申請作業を進めていくうえで、ひとつの問題が発覚しました。
使用料を払って音楽を公開することは可能であるが、それは自分が演奏したもの、または自分が打ち込んだMIDI音源になどに限ったものであり、「CD音源の場合は発行元(レーベルやアーティストの事務所)の許可を取ってから公開してください」とのことだったのです。「そんなことオンラインのどこにも書いてないやんけ!」と思いつつ・・得た結論としては「仮に著作権料を払ったとしても、発行者の許可無くCD音源の楽曲をオンライン動画やその他メディアでの映像ソフトには使用できない」という事実です。
つまり10曲分の動画を公開するなら10件の事務所に確認を取らねばならないわけです。100曲なら100件!個人の趣味の範囲を超える作業量であることは間違いありませんし、確認しても返事が返る保証すらない不毛な作業です。(仮に1人/2週間の仕事と換算して80時間以上の作業量と考えられます。)
そりゃCDを売って暮らしている人たちがそれと同等の音源のコピーをむやみにオンラインなんかにばらまかれたら、権利料払ったからといっても耐えられませんよね。
ここまでの結果を勘案すれば、この計画の実現にはとてつもない手間がかかる上に得られる結果が思いのほか低そう。・・・止めた方が得という結論に達しました。
DVDにして正規の著作権使用料を支払ってというのも検討しました。
1時間程度のDVDメディアにおける楽曲使用料は、DVD1枚当たりに換算すると500円程度、上位3人をチョイスし5部門とすれば1時間に収まります。
しかし・・・・
・最低申請枚数が1000枚単位であることから、著作権料だけで実質50万円程度の費用がかかる。メディアプレス代などにあと数十万円・・・最低100万コース。
・収録する演目の殆どはCD音源でありオンライン公開同様、各著作者側に許可を取る必要がある。
以上より、やはりDVD化も断念しました。
JNのDVDって1000枚売れると思います?一番売れているヨーヨー動画ソフトである世界大会ですら国内では100枚売れていないのですよ。商業的に成立する可能性はゼロというより、試算段階で明らかに赤字です。ちなみに、みなで出し合って何とかできないものかと、以前「なんとかしたいけど資金がないです」といった呼びかけを行った際に応えてくれた方は1人だけでした。
(ぶっちゃけていえば、みんなヨーヨーの動画をタダで見たいだけで1000円すらも払う価値を見いだしていないのだなということだと感じました。)
・オンライン動画は著作権料を払うことすらできない。著作権管理下にある音源をオンライン動画に使用することは事実上使用不可能。
・DVD化するにしても最低50万程度の著作権料が必要であるが、それをペイできる収益は見込めない。
・オンライン公開にしろ、DVDにしろ、CD音源の曲を使用すると、権利を保持しているレーベルや事務所各個にCD音源の使用許可を取らなければならない。(許可以前に100%返事が返ってくるとも思えない)(これは使用者と「著作権管理団体との問題ではなく」、「使用者と著作権保有者間の問題である」)
さて、思いつく手段は八方ふさがった。ということで、公法的な手段が無ければ犯罪にならない脱法的な手段で・・と安易に考えることも可能です。
脱法的な手段は、短期的には皆が幸せになる一番の方法です。しかし長い目で見てヨーヨーという文化に大きな影を落とすことは言うまでもありません。
今やっている人たちだけでクローズさせるのならそれも1つの解ですが、これから新たにヨーヨーを始める人たちに対して今のような、またはもっといい形でヨーヨーができる環境を伝えることは出来なくなってしまいます。
もちろんそういったクローズした場があっても否定はしません。しかしヨーヨーをする人全員がそうなった後の状況を想像すると、必ずしも明るいものではないでしょう。
さらにいえば、音楽著作権の問題は日本に限ったことではなく、諸外国においても今の流れが10年後まで保っていられるのか?と考えれば、おそらく無理といわざるを得ないでしょう。
だから安易に脱法的手段に走るのはくれぐれもやめましょう!!