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ヨーヨーの科学6回 ベアリング2 ベアリングのメンテナンス
メンテナンスといえばまず脱脂。ヨーヨーでの特徴的なメンテナンスだが、どういう作業をしているのか考えてみよう。
封入されたグリス

これを脱脂して

グリスがない状態にすることで、ベアリング内の抵抗を極限まで落とします。
慣らしについて
ベアリングを慣らすという作業があります。これは使い込んだり、ミニ四駆などで強制的に回転させることでよく回る状態を作り出すわけですが、ベアリングのボールを回転摩擦で削るというよりは、プレス加工で成型された保持器のバリを取りスムースにボールが回転できる状態に調整することを言います。専門的っぽい言葉でいうとエージングまたはコンディショニングとでもいいましょうか?
材質による違い
スチール、ステンレス、セラミックなどさまざまですが、セラミックのみボールの素材だけがセラミックです。ステンレスは、内輪、外輪もステンレスになります。
材質による極端な性能の違いはありませんが、セラミックや等級の高い専用ラインで作られるものは、加工手順が数段階余分にかかっている分、高性能であることは確かです。
それぞれの違い
スチール:いわゆる鉄でできたベアリング最も一般的で等級の幅も広い。
ステンレス:ステンレスを使用し硬度と耐磨耗性、耐腐食性を高めている。
セラミック:ボールのみセラミックになっている。寿命が外の材質より長く、耐磨耗、耐腐食性能もピカイチ。また専用ラインで製造するので、精度もワンランク高い。
コンケイブ
良いと言う話はよく聞きます。次章で詳細な効果は紹介します。

ドリルコンケイブ
必要充分を満たす製品だが、スチールベアリングでないと加工できない(ステンレスは硬度が格段に高いので専用のドリルが必要)

個人的提案
FBのナイロンベアリングに金属ベアリングのはいる穴を開け突っ込んだらどうだろう?次章でコンケイブとの差を比較します。

シールドはずし
これも回転力を極限まで稼ごうとするならありかもしれません。すでに脱脂というとんでもない工程を踏んでいるのですから。実際かなりシールドをはずして使ってる人は多いです。消耗品という前提で考えれば、きっと間違いではないことは確かです。スナップリングをはりなどでこじればすぐにはずせます。
開放型ベアリング
さいきんSGで売り始めていますが最初からシールドのないタイプの開放型と呼ばれるベアリングもあります。

開放型のほうがシールドをはめるスペースがない分幅が狭い。
元々シールドの保持部分がないので同じサイズの通常のベアリングより薄いです。
薄いので2枚重ねて使ってみましたが、2つのベアリングの抵抗のバランスが悪いのか、支持点が2点になって抵抗が上がったのか、アキシャル方向の負荷を逃がせなくなってしまったからなのか?・・・・かなりまわりはわるかったです。
ベアリングの寿命
オイル無しの状態で、使用したベアリングが突然回らなくなるという現象に見舞われたことがあるだろうか?ベアリングがわれる、寿命、などいろんな表現が使われているが、主には
・ 保持器とベアリングのクリアランスが悪くなった
・ 取れなくなったごみのつまり
・ 保持器の破損(これが多いらしい)
・ ベアリングの球のクラック(ヒビ)(まれにあるらしい)
が原因である。
いろいろ考えられるが、洗浄して直らなければもう復帰の見込みはない。
殆んどオイルレスでの使用が原因と考えられるので、寿命を気にするならオイルはわずかでも入れたほうが良いだろう。
またリングの玉は垂直方向の力には強いが、アキシャル方向(横方向)の力には弱い傾向がある。クリアランスの悪くぶれやすい構造のものは気をつけたほうがいい。

アンリのメンテ
BANDAI以降に本格的にヨーヨーを初めた後発組の中でほぼ最短で日本チャンプまで上り詰めた、自称世界で2番目にスピーダを使いこなす男アンリ、一般的な努力で越えられない壁を独自の理論と研究で超えて行った彼のメンテを見てみよう。
彼は2005年までは、決して高級とはいえないJAM純正のスチールベアリングをドリルコンケイブ化して使用していた。
グレードが低いことにアドバンテージを見出していたのだ。それはベアリングの”あそび”が違うということ。同じ量のオイルを注入した場合、ジャム純正の方があそびが大きい分、戻りがわるい。また少量の緩いオイルでも、高精度ベアリングはあそびが小さい分、戻りがかなり良くなります。実はフリー中に引いて戻すメンテでプラウィップができるアルとアンリはジャム純正を使っています。でも日産商会ステンレスベアリング使ってる人は同じメンテではプラウイップができなかったりします。
よく回るゆえの弊害だけどプレイ中のヨーヨーの挙動のシビアさまで変わってくるようですね。そうかんがえると高性能ベアリングだけにアドバンテージがあるわけではなく、自分のスタイルにあった選択がやはり重要ということですね。
心を忘れた科学には幸せ求める夢はない。いつの時代も物ではなく人が歴史を作っていくのです。
精度の話
最近ベアリングの等級という話をよく耳にするようになりました。ヨーヨー界ではベアリングの等級というとABECが馴染み深いのですがこれはAmerican Bearing Manufactures Association(アメリカ軸受け製造業者団体)が規定したものです。日本のJIS規格でもベアリング精度については規定があります。ABECとJIS規格の対比はつぎのとおり。
JIS 0級=ABEC1
JIS 6級=ABEC3
JIS 5級=ABEC5
JIS 4級=ABEC7
JIS 2級=ABEC9
JIS、ABEC共に下に書いてあるものほど精度が高いという事になっています。一般的にヨーヨーに用いられるベアリングはABEC1やABEC3のものが多いようです(個人調べ)。
ABEC等級で具体的にどんな違いがあるのかというと例えばベアリング内輪の振れ精度に違いがあらわれます。
等級 振れ精度
ABEC1 0.01mm
ABEC3 0.006mm
ABEC5 0.004mm
ABEC7 0.0025mm
ABEC9 0.0015mm
等級が上がるほど回転数あたりのブレが少ないということになります。
ひっしーの回転数調査の結果
http://hissi-yoyo.hp.infoseek.co.jp/ABEC5.html
なぜヨーヨーにつけてスリープ時間を競わないのか?といわれそうですが、まさにヨーヨーのクリアランスの違いが大きく利いてくるので結果はここまで差が出ないはずです。単純にベアリングのみの性能比較なら、妥当な方法だとおもいます。やはりABEC5のEZO
のほうが単体だと高精度のようですね。
ABEC7のような高精度のベアリングはハードディスクの読取装置が正確に読み取れるよう
に高い回転精度が要求される箇所、または家電製品で静粛性が求められる箇所、
さらに超高速回転に耐えられる箇所などに使われます。
産業界ではABEC7くらいの回転精度の高いベアリングを使う場合シャフト径を太くしてベアリングを圧入してガタが出ないようにしなければ充分な性能が発揮できません。
そういう意味では、JAMは安価にいいシステムをとっていると考えられるし、バイーパーのように軸周りをユニット化するというシステムはとてもアドバンテージが高いことがわかる。
インラインスケートなどのサイトではかなり研究されつくした結果、そこまで高精度のものは必要ないという大方の合意になっているようです。
たとえば100%化学合成の高級エンジンオイルをスーパーカブのエンジンに入れても、鉱物油を入れた状態と比べて、飛躍的な性能の変化はありません。もちろんおまじない+αの結果は得られますが、いきなり超高出力のモンスターエンジンになることは無いのです。F1マシンのようにすべてを超高精度で作りこみ、そこに超高性能オイルを入れるから、すべてがかみ合って高性能を発揮するわけです。
すっとはいるスペーサー、すっと入るボディにいくらABEC7の0.0025mmの高精度ベアリングを入れても、ベアリング本来の性能は発揮できません。
ようするに「宝の持ち腐れ」って事ですね。
おまけ
サビの話
一般のスチールベアリングはよくさびます。もうちょっとほっといたり素手で触ったりしたら、すぐサビが進行します。
スチールベアリングの場合は保護皮膜がなく鉄がむき出しなので“保護油膜を切らさない”“乾燥の徹底”というのも重要です。
では、ステンレスベアリングでも、さびるのはなぜ?という話を耳にします。
まずステンレスとは何なのでしょう?
ステンレス鋼とは鉄に少なくとも10.5%以上のクロムを含有した合金鋼の総称です。
ステンレスとは「Stainless」のことで、「さびない」という意味です。従って日本では古くは「さびない鋼」とか「不銹鋼」という名で呼ばれていましたが、最近では「ステンレス鋼」にほぼ統一されました。名前の示す通りステンレス鋼は一般の鋼に比較すると極めてすぐれた耐食性を有する材料ですが、特定の環境、使用条件の下では「さびる」ことがありますので正しい使い方をする事が大切です。
さびにくい仕組み
鉄にクロムを添加するとクロムが酸素と結合して鋼の表面に薄い保護皮膜(酸化皮膜)を生成します。この不動態皮膜がさびやよごれの進行を防ぎます。またこの不動態皮膜は100万分の3mm程度のごく薄いものですが、大変強靭で、一度こわれても、周囲に酸素があれば自動的に再生する機能をもっています。

キズがついても 酸素があれば自動修復

ではどうしてさびるのでしょう?
ステンレスのサビには2種類あります
もらいさび
『もらい錆』は、ステンレス素材を加工する事によって表面の組織が破壊されて、均一な不導態化皮膜が形成されなかった部分に、大気中の有害成分や鉄粉等が付着したり、他金属との組立てによる電位差により『さび』が発生する事を言います。

ステンレス自身のサビ
『ステンレス自身の腐食による錆』は、主に『塩化物イオン』の作用で発生します。例えば、塩分の付着量が多くなった部分は酸素濃度が低下して陽極となり、周辺部分が陰極となって一種の電池状態が形成されます。その為、不導態化皮膜が破壊されて、合金の鉄部分に『さび』が進行していきます。

『もらい錆』の場合は、初期段階であれば表面だけですので比較的簡単に除去できますが、ステンレス内部に錆が進行してしまったり、最初から『ステンレス自体の錆』が出てきてしまった場合には除去は相当難しいです。
ですから定期的に、表面を清掃する、素手で触らない、保管時は除湿剤などを用意する。等の手入れは必要なのです。
ステンレスとひとえに言っても、目的によっていろんな等級がありますが、ベアリングの素材としては主にクロムを18%含んだ、マルテンサイト系SUS440が使われているようです。(NTNのカタログに記述されているステンレス系の素材は440だけでした)これは耐摩耗性が高く、軸受けに広く使われていますが、耐腐食性は低いのが特徴です。なので、一般に多く使われているオーステナイト系ステンレス(SUN304,SUS316)と比べると少々さびやすいようです。詳細は下記の日本ステンレス協会のリンクを参考にしてください。
そういえば、「ステンレスは磁石にくっつかないんだから」と、ステンレスとスチールベアリングの見分けに磁石を使おうとする人がいますが、SUS440は磁化する性質があります。実はステンレスベアリングも大概磁石にくっつきます。これはボール加工中の圧力や焼入れなどによって磁化するということで、特別な消磁処理をしない限り、わずかに磁化したままのようです。消磁処理したベアリングは通常の生産ラインに載った製品ではないので、かなり高価なようです。なぜ磁化するのかというと、核子の周りの電子のスピン運動に起因し・・・核物理の世界の話になって、グロウの話のように調子に乗るとかなりの枚数が必要なので、今回は割愛します。
ヨーヨーベアリング対比表HIDEさん日産商会などで購入するとき参考になります
http://yoyo-start.hp.infoseek.co.jp/yogohyo.html
日産商会ベアリングを買うなら・・
http://www.nissan-sk.com/
ベアリングの技術解説形式番号の見方、シールドの種類などが詳しい。シールドをはずしたいときなど参考に。
http://www.eminebea.com/content/html/jp/engineering/bearings/index.shtml
NTNのカタログこれも参考になります。
http://www.ntn.co.jp/japan/product/catalogmenu/pdf/a.html
妻沼工業のステンレスページとてもわかりやすいです。
http://www.platec.co.jp/menuma/seihin/plate.html
ステンレス協会かなり詳しく種類や性質が記述されています。
http://www.jssa.gr.jp/
http://www.atomlt.com/06school/sc04/sc04_03.html
http://chuuou.net/sustowa.html
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